LADYISM

書く練習

名前

待合室に私の名を呼ぶ声が響く。

また今日もおなじみの『ご家族の方ですか』の質問。

看護師さんや周りの患者さんの頭の先から足の先まで舐めるような視線にはもう慣れたけど、やっぱりまだすこし緊張する。

 

でも私は自分の名前が好きだ。

親から貰った名前を変えることも考えていない。

見ず知らずの他人にその都度説明をして、ややこしい外見をしていることを申し訳なく思う。

でもそれは自分で選んでやっていることだし、周りから矯正されることではないと思うので、これからも自分がいたい自分でい続ける。

 

どんな私の姿でも、家族や友達は私の名前で呼んでくれる。

名前を呼ばれる度に私は『私』になる。

今までの豊かな人生はみな、今の名前のおかげだ。

これまで築かれてきた『私』を捨てて別の女性の名前で生きることは、私の人生には必要でないなと強く思う。